―-まずは清水プロデューサーに、4thシングル製作の過程を。
清水:基本コンセプトはセカンド、サードと変わらず、バラエティに富んだ楽曲構成にしたいと思ってました。なので、本当はメインタイトル曲を新しい方に依頼し、セカンドからお願いしている正木さんに1曲、その隙間を清水が埋める・・・という構想だったんですが、メインタイトル曲を依頼するなかなかいい方がみつからなくて、まあ、いろいろ話はいただくんですが、コンセプト的に合う合わないもありますし、それで、タイトル曲も私が作ることになりました。4曲中3曲が私作曲なので、バラエティに富んだ作家陣とはなりませんでしたが、楽曲については、いい感じでばらけたかなと思っています。
Star☆Tは、年齢層が小学生から30代までと幅広いので、今回、ヤング曲、大人曲というのをやろうというのは当初から決めてありましたしね。
―-それでは、1曲ずつ解説お願いします。まずは清水プロデューサーにタイトル曲『Swinging Star Forever』について。
清水:これまでは、全体を見渡すために、メイン曲はやらずに企画ものだけやってきたんで、今回タイトル曲を作るにあたってはちょっと身構えましたね・・・。頑張んないといかんなと。デビュー曲の「この街に生まれたから」はやってますけど、あれもある意味企画もの、限られた環境でいかにご当地アイドル感を出すかという企画ありきでしたから。
曲の原型は15年くらい前に作ったものです、アマチュアで音楽やってた頃の。アレンジは全然違いますが。昔作った曲の中ではもっともメロディアスで歌謡曲っぽい曲だったので使うことにしました。それを、ダンサブルにソウル感を出したいって思って、歌謡曲でソウル感ならオザケン(小沢健二)で行こうと。オザケンの「Life」やその頃の一連の楽曲の雰囲気ですね。学生時代によく聞いてましたから。エレピが効いててよりR&B感、ソウル感は出せたかなと思います。
詞も新しい人に頼もうかとも思ったんですが、ここは「この街に生まれたから」「あなた探して矢作川」をやってくれてる気心の知れた伴野紀子に依頼しました。スケール感のある、星をテーマにした詞をと依頼しました。これまではあがってきた詞をちょっと直すくらいでしたが、今回は何回もやりとりをしました。当初は曲の方が大変かなと思ってましたが、とりかかってみると詞の方が産みの苦しみはありましたね。
歌のソロパートは、千賀璃奈、牧野凪紗、竹端花澄、木戸怜緒奈、神山りくなが歌っています。1人のソロはないですが、2〜3人で重ねてます。コーラスは、竹端花澄、牧野凪紗、神山りくなですね。サビは全員で歌ってます。
―-続いても清水プロデューサーに『癪にさわるけどshiny day』について。
清水:ヤング曲です。歌も若いメンバー中心で歌ってます。曲のイメージはフレンチポップ、スウェディッシュポップですね、カーディガンズとか。それをボサノバっぽく、ささやき唱法的に歌ってもらおうと。曲作りの当初では安藤笑の声質を意識した部分もあったのですが(安藤笑は6月より受験のため休団中)、現メンバーでもいい感じでレコーディングできました。
詞はこれも伴野紀子。テーマはツンデレで、仮タイトルも「ツンデレ」でしたから(笑)、ツンデレ感あふれる詞でとお願いしました。
歌は、林美憂、木戸怜緒奈、橋本杏奈が主に歌って、最後のサビで牧野凪紗、橋本佳那、ちさとが重ねてます。中盤のソロは林美憂、セリフは相川舞音です。
―-そして『Sha・la・la』。こちらは、正木プロデューサーにお伺いします。
正木:清水Pから、大人曲をしっとりバラードでとオファーを受けました。Star☆Tでバラードというと松中さん菊池さんコンビがずっと作ってきてますので、同じ路線ではない感じで行きたいとは思ってました。一緒にやってる和香と2人で作った感じですね。まず私がベースになるデモを作って和香に投げて、和香がメロや詞を乗せてきて、今度はそれに合わせてアレンジを重ねて行ってと何回もやりとりをしながら作っていきました。
清水:シンプルな楽器構成で、アコギが始まるところとか、アナログシンセの音色とかいいんですよね〜。
正木:ギターはエレキでカッティングギターのイメージだったんですが、デモでとりあえずアコギ入れたらいい感じだったのでそのまま使いました。曲想はやっぱり80年代ってのがキーになってます。AORとかウェストコーストサウンドとか。私が音楽を本格的に勉強しはじめた時期と和香の学生時代が重ねっていて、その頃に活躍していた渡辺美里のイメージもありました。いずれにせよ、自分達が好きな音楽をやろうってのはありましたね。
清水:正木さんの生ベースも唸ってますね。大きいスピーカーで聞くと生ベースの太さが堪能できるのでぜひ聞いて欲しいですね。それと、和香さんの詞なんですが、実はサードシングル収録の「Motor City Queen」も詞のベースは和香さんが作ってて、今回の『Sha・la・la』にも共通した喪失感みたいなものがありますよね。
正木:彼女はボーカリストですから、作家的というよりも自分の歌のように、自分自身をぶつけて書いてるところがあって、そういう彼女自身のモチーフが出たんだと思います。「Sha la la」のフレーズはミニー・リパートンの「Loving you」のイメージがあって、最初から使おうと決めてました。ご当地感も出したいということで、展望台が出てきますが、あれは野見山展望台ですね。
清水:そのフレーズから、ジャケットで野見山展望台からの写真を使いました。豊田市街が一望できる展望台で、夜景もきれいな穴場な展望台です。
正木:歌は、楽曲的には1人が歌いきる形でもよかったんですが、Star☆Tはグループで、大人曲というくくりでしたので、ソロは、竹端花澄と神山りくな、里園侑希の3人で分け合ってます。そこにコーラスで和久田朱里、磯村明日美、横山七重が参加してます。
―-そして、最後は『豊田よいとこ音頭』について。
清水:セカンドの「あなた探して矢作川」、サードの「安全運転は愛なのよ」に続き、最後は企画ものというパターンが恒例になってきました。豊田市の観光協会には、デビュー当初からお世話になってまして、補助金をいただいてたり、観光イベントもほとんど出演させてもらってますので、恩返しの意味も込めて作りました。豊田市は2006年に合併して、山間地域のたくさんの観光地が豊田市になりましたから、各地区の名所をPRしたいと。
アイドルの音頭ってのは、ある意味王道ではありますよね、これまでもたくさんのアイドルが音頭歌ってます。私自身は大瀧詠一フリークですからね、『ナイアガラ音頭』『LET'S ONDO AGAIN』愛聴盤です。楽しんで作りました。7地区分入れないといけなくてどうしても長くなっちゃうので、ミックスの時にディレクターさんに「なんとか5分切って作ってください」とお願いしたりして(笑)、4分59秒になってます。それと、正木さんが「スタート〜神様には前髪しかない〜」(セカンドシングル収録)で「おいでん」(豊田の夏のおいでん祭りのテーマ曲)のフレーズを入れてくれたんで、そのアンサーとして「豊田音頭」のフレーズを入れ込みました。イントロとアウトロですけど、わかる人いるかな〜。
歌は各地区2人ずつで歌ってます。えー、旭が里園と和久田、足助が竹端と森本、稲武が磯村と千賀、小原が横山と竹端、下山が千賀と里園、藤岡が橋本優奈と磯村、松平が和久田と森本です。バックは全員で歌ってます。
曲の最後に歓声が入ってますが、あれはリアル歓声です。レコーディングは今までで一番時間がかかって、終わりは夜の10時近くて、これですべて終了の合図に「やったー!」って歓声があがって。それをディレクターさんがとっさに録っておいてくれたのを使いました。
―-それでは最後に、聞いてくれるみなさんにメッセージを。
清水:これまでも、今どきのアイドルっぽさというのは全然考えずに作ってきましたが、今回は、洋楽っぽさもこれまで以上に出てて、ますますアイドルっぽくはないんですが・・・。音頭が一番アイドルっぽいかもしれないですね(笑)。でも、それぞれの方に、自分の好きな一番自信のあるものを作ってくださいとお願いして、それぞれ作り込んでますし、歌も時間をかけて頑張ってます。音頭以外はご当地感とか季節感とかアイドルということさえも気にせずに、1曲1曲、シンプルに楽曲だけで勝負しましたから、決して派手ではないですが、聞けば聞くほど味が出るスルメみたいなシングルになったと思いますので、じわじわと聞いてもらえればと思います。
それと、今回同時にベスト盤も作りまして、デビューシングルの『この街に生まれたから』と『ひまわり』をリマスターしました。デビュー当時は、私の手持ちの機材でしょぼく録ったものなので、どうしてもやり直したくて。これまで聞こえなかった音がかなりクリアになってますし、迫力も出てると思いますので、こちらもどうぞ聞いてください。