2016年03月31日

【楽曲解説】プロデューサーによるミニアルバム「restart」楽曲解説その1

豊田アイドル映画プロジェクト「restart」Soundtarck&Moviesの楽曲について、プロデューサーのみなさんにお話しを伺いました。

――まずは、清水プロデュ―サーに、本作の制作経緯を伺います。
清水:前作は2015年1月発売の6thシングル「モノクロームデイズ」になるんですが、本当にみなさんのおかげでオリコンチャート19位(シングルウィークリー)にランクインさせていただきました。2014年1月から東京、全国に活動の幅を広げて、フェス出演をかけたコンテストへの挑戦や、名古屋・東京でワンマンライブ開催、全国でリリースイベント、知名度のあるアイドルライブへの出演など、いくつか目標を設定した中でも、チャートインは1つの大きな達成でもありました。これは、アイドルが全国を目指して大きくなっていくコースというかパターンの1つの形だと思うんですが、「そこに正面から挑戦しよう」というのが2014年以降のStar☆Tとしての方針だったわけです。そういう流れの中でいうと2015年7月のZeppNagoyaワンマンライブというのは1つの節目というか区切りでした。1年半かけて一周したというか。
――なるほど、アイドル活動としてひと回りしたと。
清水:はい、そこまで駆け抜けて、「さあ次は?」という時に、もちろんさらに大きな2周目に入る、例えば・・・次のシングルはトップ10入りを目指すとか・・・、さらに大きな会場でのライブを目指すとか・・・という道ももちろんアリだとは思うんですが、Star☆Tとしては、それはちょっと違うかな、と。じゃあ、次は?と言われれば、運営的には、原点回帰、豊田のご当地アイドルとして何をすべきかを考えていくことであり、パフォーマンスとしては、より骨太のエンターテイメントを提供していくということに辿り着きます。いわば、Star☆Tオリジナルをやっていくということです。
そういう思いの中で、2015年の5月頃から、Star☆T出演で、豊田を舞台に映画を作るという企画を進め始めましたから、次のCDは、その主題歌をすべて新曲で作って、5〜6曲のミニアルバムとしてDVDとセットで出すという形に自然となりました。他のアイドルさんもやってないことに挑戦するという意味も含めて。
だから、プロジェクト全体のタイトル「restart(再出発)」は、映画や楽曲の内容からきたものではなく、Star☆Tとしての1つの宣言ですね、決意表明です。
――楽曲制作の経緯はどのような感じだったのでしょうか。
清水:楽曲制作についても新しい挑戦だったと思います。まずは映画があって、その主題歌を作ってもらうという順番です。これまでお世話になっている楽曲制作チームのみなさんには、映画の企画が始まった頃から「次はこういう形でいく予定です」とお話しはしつつ、でもある程度映画の内容が見えてこないと曲も書けないということで、制作時間はかなりタイトでした。
10月かな、松中菊池コンビの菊池さん、木蓮堂の正木さん和香さん、そしていつもレコーディングのディレクターをしていただいているVOXBOXスタジオの深井さんにも来ていただいて打ち合わせをしました。映画は撮影は4本終わってましたが編集はまだあがってきてないので、シナリオを読んでもらいつつ、撮影の雰囲気も伝えて、「さて、どれにします?」みたいな感じで、その場で割とするするっと割り振っちゃいましたね。詳しい話は各曲の解説で話します。
ミニアルバムなので、リード曲というのも設定せず、これまでもアイドルっぽくない曲が多かったStar☆Tですが、今回は、もうはじめから「全然アイドルに寄せなくてもいいですから」と言っちゃってましたね(笑)、バランスもあまり考えずに。とにかく“いい曲”お願いします!と。「モノクロームデイズ」もシングルと言いつつ3タイプ合わせると全10曲あって、中身はアルバムでしたから、かなりバラエティに富んでましたが、今回はさらにディープで、マニアックで、その分作る側は楽しんで作ってしまったかなと。
話を戻すと、12月中下旬をめどに曲を上げてもらって、今回はそのまま全曲OKにしましたから、1月始めにレコーディング、そこから主題歌を元に劇中音楽も作って監督に送って、1月末から全国上映&ライブツアーが始まるので、それまでに映画の完パケをもらうというかなりのハードスケジュールでした。

――それでは、1曲ずつの解説をお願いします。
清水:収録順でいきたいところですが、制作の関係で2曲目の「Lost」から行きましょう。
――了解しました。今回も、各曲のプロデュ―サーに加わってもらいます。「Lost」プロデュースの菊池卓也さんです。
菊池:よろしくお願いします。先ほど清水さんが話されたとおり、昨年の10月頃に制作チームが集まり、どの映画にどのような曲を主題歌とするか、またどのチームがそれを受け持つか等話し合いが行われました。この時点で全ての映画の内容はほぼ確定しており、あらすじなど細かい内容やどんな曲や曲調が主題歌として合うかなどのオーダーが書かれたシートもいただきました。そこで、ざっと目を通してみると「カゲノワズラ」のあらすじが真っ先に目に入り、その時点で一つの曲が頭の中に流れていました。「Lost」です。以前から共同製作をしている松中啓憲の曲で、昨年発売した松中自身のアルバム「ペンタトニック」に収録もされています(※この企画全体の予告編にも使っていただいていますね)。映画をターゲットに作られた曲ではないのですが、偶然にも雰囲気や歌詞が映画の内容と非常にマッチしているな〜と思い「カバー」という形で清水Pに提案をしてみました。
清水:そうでしたね、もうその場で「この映画にぴったりの曲がありますよ」って言ってもらって。
菊池:その話の前後、別の企画としてアイドルコンピレーションのお話があり、Star☆Tに初めて曲提供をさせていただいた曲「ひまわり」をアコースティックバージョンにリアレンジし制作・収録したんですが、その「ひまわり」も最初に提供させていただいたものは松中曲のカバーであり、それを提案した時の感覚に近いものがありました。その他の提供曲は、Star☆Tのために書き下ろした曲で、そのいくつかは松中自身がセルフカバーをしている形ですので、松中曲をカバーいただくのは今回が2曲目になります。
――カバーということで、アレンジ等はどのような形で進んだのでしょうか。
菊池:松中はピアノの弾き語りのシンガーなので、「ひまわり」「Lost」ともに構成はピアノがメインの楽曲でしたが、新たにアレンジを施すにあたり、両曲とも生ギターを押し出した構成にしようと考え、松中のアルバムでもサポートでお世話になった木曽義明さんに再度ギターアレンジをお願いしました。再度、というのは、Star☆T楽曲として彼に初めて依頼した曲は「ハイブリッドガールU」で、パワフルかつメロウなエレキギターを弾いてもらってますので。
今回は全く逆のアプローチではあるのですが、アコースティックとして違和感なく仕上げていただけたので、ピアノは一歩引いた場所に、そしてシンセを柔らかく被せ優しいイメージでオケを仕上げていきました。「Lost」の中盤以降から聴こえてくる鳴き声のような音色は、オーダーして入れてもらったわけでは無いのですが、なんとなく映画本編の「影の存在(※ドッペルゲンガー)」の叫びのようなイメージを表すのにピッタリだな〜、と思い個人的に気に入ったのでそのまま収録しています。
歌詞については普遍的なテーマではありますが、深く染み入り考えさせるようなフレーズ。もしかしたら「ホラー」とは合わないかも知れないけれど・・・、映画のストーリーを拝見した際にビビッと感じた一致感を信じて選曲、アレンジをさせていただきました。
――ボーカルは牧野凪紗さんのソロですね。
菊池:はい、牧野凪紗さん単独です。Star☆T流通版CDにおける完全ソロ、というのは初めての試みではないかと思います。
清水:とても内省的な歌なので、ボーカルを2人以上で割り振るのは合わないし、「カゲノワズラ」の主演も牧野でしたので、ここはすんなりソロで行こうと決まりましたね。
菊池:彼女自身、歌うことが大好きとのことなので、「Lost」もまた彼女なり(またはこの曲を歌ってくださる方)の想いで大事に歌っていただければこの上ない幸いです。

――それでは3曲目「エスプレッソをダブルで」についてお願いします。ここでは木蓮堂の和香さんに加わっていただきます。
和香:よろしくお願いします。
――楽曲制作はどのような経緯だったんでしょうか。
和香:映画が探偵物、それもテレビ版「探偵物語」リスペクトだということで、ハードボイルドな曲、もちろんSHŌGUN風で!というオーダーでした。
清水:正木さんが「SHŌGUNオーダーをうちでやらないわけにはいかない」って言ってたのを憶えてます(笑)。頼む前から「多分食いついてもらえるだろうな」と想定してたところはありますが・・・(汗)。
和香:なので、この曲に関しては、歌詞やメロディからではなく、正木さんにギターでリフから作ってもらいました。そのリフにメロディを乗せていった感じですね。「エスプレッソをダブルで」はリズムと語呂でなんとなく。映画が喫茶店から繰り広げられるので、コーヒーからイメージを膨らませてみました。
――歌詞がとってもハードボイルドですね。
和香:歌詞の内容は、登場人物の中で強烈な印象のマチ子と久藤の物語にしてみました。チャラ男な久藤と、嫉妬深いのにダメ男が好きなマチ子。そういう続編も観たいなと思える映画でした。聴きどころは、リズムがコーヒールンバな部分ですかね。映画音楽なので、こういう曲が良いんじゃないかと、彼女達の歌の得意不得意考えず好きな様に作っちゃいました(笑)。

――4曲目は、Star☆Tへの曲提供は初めてとなる深井勇次さんプロデュース曲です。
深井:よろしくお願いします。
清水:実は、深井さんの「きまぐれストーリー」については他の曲とちょっと経緯が違ってまして、10月の打ち合わせの時に、いつもお世話になっているということで深井さんもお誘いしまして(打ち合わせと言いつつ酒席だったのです・・・)、その時に、せっかくだから1曲お願いします、とりあえずどんな感じの曲でもいいのでお任せします、と無理やりにお願いをしまして。なので、当初は、この映画の主題歌で、ということではありませんでした。その時は「じゃあ、もし出来れば送ります・・・」くらいのお返事だったんですが、数日後にはデモが送られてきて、すごい、誰よりも早いと(笑)。はじめからコンセプトや歌詞もほぼ完成されてましたよね。
深井:この曲、正直に言うと猫の歌です(笑)。猫が家の外に出たい気持ちを歌った歌です。なので、「きまぐれ」「部屋の隅も闇」という歌詞が出てきます。最後には脱走に成功して「サヨナラ」で終わるわけです(笑)。
ただ、それは作詞にあたってのきっかけであり、リスナーが自分なりの状況にあてはめて、いろんな事を想像しながら聴いてもらえたらおもしろいなと、敢えて世界観を特定しないように作詞しました。明るく、前向きな曲に仕上がったかなと思います。
――曲作りはどのようなイメージで?
深井:楽曲は、LIVEを想像しながら考えました。イメージはアンコール前の最後の一曲です!ここでも最後の「サヨナラ」でステージからハケる訳で(笑)。はじめはコテコテのバンドサウンドの楽曲を考えていたのですが、Star☆Tはこれまでもいろいろなジャンルの曲があるとは言え、途中でさすがに違うかなと思い、逃げの意味でポップな曲に路線変更しました。
メロディーは歌いやすくキャッチーである事を心がけましたが、その結果シンプルで簡単な曲にはなってしまいました。でも、LIVEで一緒に歌ってもらえたら嬉しいです。
聴きどころはやっぱしギターソロですね、ギターのアレンジは依頼したのですが、全体のアレンジもギターアレンジにかなり引っ張られました。
清水:早くデモを送っていただいたので、ちょっと待っててもらったんですが、他の人の曲が少しずつ見えてくるにしたがって「アイドルっぽい曲がない・・・」となりまして、さすがに1曲くらいアイドルっぽい曲が欲しい、そのまま「きまぐれストーリー」を収録させてもらおうと。今回の収録曲の中ではもっともというか唯一のアイドル曲ですよね。でも今どきではなくちょっとノスタルジックな歌謡曲っぽさもあり、初めて楽曲提供いただきながら、Star☆Tらしい楽曲だと思います。雰囲気も映画の「Girls Be Ambitious!」に合うなと主題歌にさせてもらいました。歌も映画出演の3人にして。
深井:歌っているメンバーの個性が出るようなテイクも録れたかなと思います。譜割やメロディーがデモとは違っていても、それぞれの歌い癖があったのでそちらを重視しました。
(その2に続く)
posted by Star☆T at 19:48| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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