―-まずはこの映画製作に至った経緯を。
Star☆TはそもそもM.I.F.という映画製作団体が発祥で(M.I.F.が製作するテレビ番組のコーナー企画として誕生した)、Star☆Tを始めて間もないおととしくらいから、M.I.F.内でも「せっかくだからStar☆Tを使った映画を作りましょうよ」という声は上がってました。
それと平行してというか、それよりも前からですね、私自身としては「箱」「少したのしい」「森男」と映画としてのクオリティの高さを目指した、どちらかといえばシリアスな監督作品が続いたので、次は原点に還って「ホーリー3をやりたい」と思ってました。「ホーリー1」は私の初監督作ですし「ホーリー2」は色々と賞もいただいていわば私の代表作ですし、私にとっての映画作りの原点なので。
それで、もうこれはピン!とね、Star☆Tとホーリーを融合してしまおうと。ホーリーはくだらないナンセンスコメディですし、Star☆Tを使うならアイドル映画として誰もが楽しめるわかりやすさが肝だと思いましたから、この2つの企画には親和性があるし、くっつけられるなと。
―-具体的な製作過程は。
M.I.F.としては、年に1回やっている小坂本町一丁目映画祭に向けて映画製作をしてますので、2014年5月開催のVol.12での上映に向けて昨年の春にM.I.F.内で企画を通しました。
ただ、何かと忙しくて、Star☆Tのスケジュール調整もありますから、今年の年明けにスタッフで企画会議をして、なんとかやれそうだなとなって、シナリオの初稿ができたのが3月頭だったかな、それで4月にどうにか2日間Star☆Tのスケジュールを押さえて、丸1日の撮影は3日間、プラス夜だけの撮影を2日やって4月末にクランクアップ、突貫で編集をして、5月の上映にギリギリ間に合わせた感じですね。
事前のリハーサルなんかは一切なし、ほぼぶっつけ本番の撮影でした。ただ、まあそういう自主映画らしさというのが原点回帰の1つでもありましたし、リハをするよりも、ファーストテイクを活かすのがこの映画のよさだと思いますから、あえてリハとかはしなかったということもあります。
―-内容について。
公務員探偵ホーリーは、市役所職員でありながら市役所の裏の調査をする探偵もしているという設定で、これは1、2を作るにあたっては、私も含めて主演の堀さん近藤さんも市の職員で「公務員なのにこんな映画作っちゃいました」というセルフパロディでした。
ただ、もう今となっては、M.I.F.も職場サークルではありませんし、そういうイメージもないので、設定のみが残っている感じですね。要は探偵ものなんですが、基本はナンセンスコメディなんで、小ネタでいかに笑ってもらうかという映画です。
ホーリーパートで小ネタ満載にして、Star☆Tパートはわりとシリアスにしてありますが「本物」「偽物」のテーマは当初からあったわけではありません。
1月の企画会議というのは、中身はギャグアイディア会議でして、ストーリーとかじゃなくてとにかくギャグのアイディアを、堀さんはじめ数人で出し合ったんです。そこで出たのは、ホーリーが死んでる、とか、Star☆Tじゃんけん、とか、中華お面とか、結構活かされてるんですが、その中におばちゃんばっかの偽Star☆Tが出てくるってのがあって、それは面白いと。そこを軸に「本物」「偽物」をテーマにしたシナリオを書いた感じですね。だから、テーマの発端は偽Star☆Tです(笑)。
―-映画祭では「結構ジンとしちゃいました」という感想もありました。
そこは全然狙ってなかったんですが、私も直接いくつか感想をいただきました。「本物ってなんなんだろう・・・と考えさせられました」とか。Star☆Tファンの方からは「よくあんなセリフ言わせましたね〜」とも言われました。「ご当地アイドル自体がアイドルの偽物みたいなもんなんだから・・・」などのセリフですね。
アイドル映画ですから、Star☆TはそのままStar☆Tの役でというのは当初から決めてましたし、それなら現在のご当地アイドル事情、一般的な世間のイメージも入れ込もうと。そういう部分も含めて私の思いが無意識に反映されてるかもしれません、本物のアイドルとは?みたいな部分が。
まあ、本当のStar☆Tの控室は、げっそりするくらいうるさくてワイワイと仲がいいので、逆にそういう仲が悪いという設定もやれたというのはありますね。本当に仲が悪かったら・・・ちょっと怖くてあんなセリフ言わせらんない(笑)。
―-Star☆Tの演技について。
みんなほとんど演技は初体験だったと思いますが、主演級の橋本杏奈、和久田朱里を含めよくがんばったと思います。あんなは案外すっとあのたどたどしい喋り方でそのまま演技もできたのでキャラが出たと思います。
逆にあかりは苦労してましたね。「もっといやらしく、もっとやる気なく」と大分やり直しをしました。どうしても優しくなっちゃうんでね。
橋本優奈がやはりミニドラマの出演経験があるのでうまかったですね。今回のStar☆T内主演女優賞はゆうなですね。
でも、みんな限られた時間の中でうまくできたと思います。そのあたりは普段ステージに立ってるし、表現という意味では歌やダンスと共通してますから、コツをつかむのはみんな早かったです。
―-音楽について。
ホーリー1、2は映画のために楽曲を作ったんですが、今回はStar☆Tの楽曲を使ったのでその点は楽でしたね。「恋のよ〜いStar☆T」と「あなた探して矢作川」を使ってます。姫&ホーリーの歌も欲しかったので「矢作川」の歌は2人でレコーディングし直しました。それにしても「矢作川」のレコーディングをしてたら「やってること11年前とほとんど変わらないな」とちょっと感慨がありました(笑)。
「恋のよ〜いStar☆T」は、発売したばかりの5thシングル収録曲ですが、その発注時から木蓮堂の正木さんに、映画の主題歌にも使いたいとお願いしてありました。それを踏まえてポップで明るい曲をと。
マイナー感とメジャー感がミックスされた曲なので、劇中の変奏バージョンを作りやすかったですね。いい感じで画にのってると思います。新たに作った劇中音楽はほぼ「恋のよ〜いStar☆T」の変奏版です。
―-原点回帰について。
ここ最近は、いかに自主映画っぽくならないように、高クオリティなものを作るかを追求してきたんですが、今回は、その避けてきた自主映画感を全面に出そうという意味での原点回帰です。初めてカメラを手に入れて楽しくてとりあえず何でも撮ってみるみたいな、学生が集まってとりあえずなんか映画作っちゃいました的なノリというか。
とにかく、撮影現場が楽しくなくちゃとね、現場の楽しい雰囲気を画面から出しちゃおうと。ホーリー1や2を作った時がまさにそうで、クオリティとかそんなこと考えずに、遊び倒す感じでしたから。今日1日撮影楽しかったな、笑いすぎたなという感じで。
でも、これはまあ後付けですけど、Star☆T自体がまだそういう段階ですから、ステージ楽しい、とか東京に行けて楽しい、とか、この弁当おいしい、とかね。なので、そういう「本人たちが楽しんでるな〜」という感じは、この映画とStar☆Tもよくマッチングしてて、そういう雰囲気というか勢いみたいなものは出せたかなと思います。
とは言っても、参加してくれたスタッフはみんなかなりの熟練者ばかりですし、技術的にも、それからシナリオや演出についても、これまでの経験やノウハウは惜しみなく使って、わかりやすくて笑えてちょっぴりジンとして、観た後にああ楽しかったと思ってもらえる、いわばプログラムピクチャーとして成立させる努力はしたつもりですので、ここまで言ったようなうんちくや前情報は気にせずに、ただ42分間を楽しんでもらえれば本望です。
―-DVDには、メイキングとNG集も入ってて、撮影の様子も垣間見えますので、どうぞDVDでもお楽しみいただければと思います。
予告編はこちらでご覧いただけます。また、前作「公務員探偵ホーリー2」は本編がネットでも見られますので、ご興味のある方はどうぞ。
ホーリー3予告編
ホーリー2本編